看護師が不足している背景

看護師が不足している背景


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患者の安全性は、看護師の数に比例して高まると言われている。医療を専門としている者の間では、看護師の数が不足すれば医療の質や安全性が維持できなくなるというのは常識である。しかしながら、病院看護師数の我が国の数値は欧米の諸国に比べて圧倒的に少ない。

 

100病床あたりの数でみてみると、英米伊独の平均が138人であるのに対して、我が国はたったの34人(03年時点)である。近年で諸外国との差は縮まるどころか開いている。国際的に、患者の安全性は薬剤師が多いほど高まることが知られているが、病院薬剤師の100病床あたりの数値は米国が平均8.9人であるのに対して我が国は2.5人に過ぎない。

 

看護師が不足している背景

 

病院を一つの単位としてみた場合にも、100病床あたりの従事者数は愛知県がんセンターではほぼ同様の機能と規模を備える米国のMDアンダーソンがんセンターと比較して、看護師数で17%、全職員数で6%、薬剤師では5%に当たる人員しか働いていない。

 

欧米レベルの安全性の医療を日本では、期待されないのはこうした数字を見れば当然のことと思えてくる。看護師や医師の数が、決定的に不足しているということが医療の側から発信されるようになったのは、医療ミスや過誤で看護師や医師が「未熟」であると批判されてからだ。

 

 

医療行為に対して、萎縮する看護師すら出始めていた。決して未熟なのではなく、睡眠すら十分にとれない過重な労働に原因が求められるべきだという反論が出てきたのだ。米国においては、コメディカルの数についてもそうであるが、その質(教育レベル)についても議論がなされている。

 

米国が2007年に発表したAHRQによれば、患者の死亡率は大卒の看護師が10%増加することで5%下がり、修士ないし学士を持った看護師の割合と患者死亡率及び重症合併症患者死亡率との間には統計学的に見ても優位な相関関係があるとされている。

 

AHRQによれば、看護師の質はその経験した年数よりもより大きく医療の安全に影響を与えるとされている。学士を持った看護師が仮に20%から60%になれば、1000人患者あたり3.6人、1000人の重症患者あたりで14.2人の死亡が減少することになるという。まさしくこれは驚異的なデータと言える。

 

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我が国の看護師の養成は4年制の大学で32%、高等学校で7%、短期大学で6%、指定養成所で53%、専修学校で2%となっている。もっとも、今後は看護基礎教育の4年制大学化へと舵を切るようだ。これは米国の影響なのかもしれない。

 

現在では大きく減少している夜間教育など、仕事をしながら学習することができるという選択肢も残しておくべきだとする意見もある。看護師と医師に共通しているのが数が不足しているという点だが、個別に事情や背景が異なっている。

 

 

最も大きな相違点は、コメディカルの免許を所得している人がそれなりに養成されているのに対して、医師の場合には絶対数が不足している。年間で5万人を養成しているのが看護教育機関で、一度は病院勤務に就くが、何らかの事情によってバーンアウトして潜在看護師になるというケースが非常に多い。

 

この何らかの事情を明確にし、その点を解消することが看護師不足を解決するカギとなる。



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