救急患者のたらい回し対策は進んだか

救急患者のたらい回し対策は進んだか


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所謂たらい回しについての深刻なデータが、国会において明らかになった。我が国には約4770か所の救急指定病院があるが、この中で1日で1台未満の救急車しか来ないという病院が1348件に上る。つまりは、救急病院として機能していないということだ。

 

この背景にも、医師不足がある。特に産婦人科において顕著で、その稼働時間は1週間で何と63.3時間だ。1日に9時間労働し、日曜の休みもない。1996年に約4000か所あった産婦人科病院やクリニックは10年後に2900か所にまで激減した。

 

救急患者のたらい回し対策は進んだか

 

小児科においてもそうだが、産婦人科でも医師の減少に歯止めが掛からないのが現状である。2007年、それまで大阪市内にあった270か所の救急指定病院が、6か所も撤退した。6か所の内訳は内科が5か所で小児科が1か所である。

 

このうちの1つである松原市立松原病院は、毎日約100人の小児科患者を診ていたが、医師不足を理由に撤退を余儀なくされた。全国的に見られるのがこうした救急指定病院の撤退で、大阪市だけの問題ではない。ある年には福岡県で26か所減少、東京都では15か所、大阪府で14か所減少した。いずれも医師不足によるものである。

 

2008年からは、医師数の不足に対応するために勤務医の診療報酬が引き上げられることとなった。1500億円が投じられることとなり、6時から8時、また18時から20時の勤務医に対してはさらに加算が行われる。これとは別で、同年の4月からは0.38%、患者治療の診療報酬がプラスされた。

 

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しかし、政府の報酬を上乗せする医師優遇政策には批判が多いことも事実である。ある医師によれば、32兆円が医療費の総額で、その内の16兆円程度が病院の総収入となっている。上記のパーセンテージで診療報酬が引き上げられたところで、上積みされるのは全体の1%に過ぎない。

 

サラリーマンが月に50万円稼いでいて、ある日5000円の値上げがなされたところで、その仕事に魅力を感じるようになるだろうか?お金が医師の意欲を駆り立てることはないだろう、医師が真に欲しているのは自己の修練や研究に捧げることのできる時間なのだ。

 

たらい回し無くすためには病院側と安心感を得るために大病院を望む患者とのミスマッチを解消する必要がある。救急隊が効率的に搬送先を探す救急医療システムや緊急度や重症度に応じて救急患者を振り分けるトリアージを十分に機能させることが対応策として考えられる。



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