周産期医療再生の方向は?

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周産期医療再生の方向は?

 

仮に現状をこのまま放置しておけば、周産期医療崩壊に歯止めをかけることはできない。戦後から70年近くの歳月をかけて築き上げられてきた、誇るべき我が国の周産期医療を後世に残すにはどうすべきなのか、我々は重大な岐路に立たされている。

 

深刻な崩壊を見せている周産期医療を再建するためには、医師分配の見直しや女性医師の活用、事務分担の分業化といった対応策では最早どうにもならない。過酷な勤務に耐えかねて男性医師ですら周産期医療の現場から離れているという現状で、女性医師に期待をかけるというのは馬鹿げている。

 

むしろ、女性の医師であっても継続して働けるような医療環境を整える方が急を要する課題である。産婦人科医全体の数は約1万人で、この中で分娩を扱っている産婦人科医の数は7000から8000とされているが、この内、40歳以下の産科医師の半数が女性となっている。

 

中には、労働条件の悪い産科から出産や子育てを機に離れていく者も少なくない。現状では、産科医が今後に増えていくという希望的観測を持つことができない。なぜなら、少子化が将来的にも続くというのは確実なので、産科医になったからと言って食いっぱぐれが無いかと言えばそうではないのである。

 

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また、医師の配分を見直すことによって、他科の開業医や医師を周産期医療の現場に回せば事足りるという意見もあるが、医療が高度に専門化した現在でこうしたことは実現しない。高度化が急速に進んだ産科においては、医師免許があれば誰でも構わないというのは全くの暴論だ。

 

医療従事者の業務の分担を推進する必要がある、とよく言われるが、人件費を含めた社会保障費が毎年2000億円削減され、約55万人と推測される雇用の機会を失った潜在看護師がいる現状では全く持って現実味がない。

 

重症の妊婦を産科医が診て、正常分娩を助産師が行う分業化が唯一の望ましい策だと考えられるが、こうした方策もセクショナリズムという考え方が邪魔をして上手くはいかないであろう。厚労省並びに政府が、周産期医療等の医療の現場における医師の配分と労働環境の整備を見直して、本腰を入れて医療従事者の業務分担を推進しようとするのであれば、医療安全上超過勤務の起きないように、医師やコメディカルのマンパワーを欧米先進国並みにまで引き上げるという決断を行うべきである。

 

 

「その実現のために必要となる財源については、医療費の削減という方針を変更して、医療費を先進国並のレベルにまで増やす他はない」と、ある医事評論家は言う。しかしながら、削減や抑制の対象のコストとしか社会保障費を考えていない政府や厚労省の官僚に上記のようなことが行えるとは思えません。

 

もし、公共事業と同様に医療についても雇用の創出に寄与すると考えるのであれば、コメディカルや休眠看護師に就業の場が広く提供されることは間違いない。こうした政策こそ景気浮揚策の1つとして考えてほしいのだが、こうした発想は全く出てこない。



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