周産期医療の機能不全

周産期医療の機能不全


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ここ数年でマスメディアは産科施設の分娩の取り扱い禁止や産科医数の不足、あるいは産科医の逮捕や妊婦のたらい回しといった、主産に関連する医療問題を連日のように取り上げています。

 

奈良県の橿原市で2007年に起きた、救急搬送先が決まらなかったことで妊婦が試算した問題を受けて、各都道府県の支部に対して日本産婦人科医会が9月に緊急の調査を行った。調査の内容によると、47都道府県の内、10月の時点で産科救急システムがその機能を十分に果たしているのは半数のみであり、救急患者を十分に収容できていない都道府県は約4割にも上ることが分かった。病床及び産科医の不足が主たる原因である。

 

周産期医療の機能不全

 

ちなみに、44都道府県で搬送のシステムが整備されているが、その内の24道府県においてしか十分に機能していない。未整備の3県を含んだ5県が機能しておらず、機能はしているが不十分な都府県も18ある。28都道府県については救急患者の収容が十分に行われているが、19府県については十分ではない。

 

当時の福田首相は2008年の4月に国立成育医療センターを視察し、メルマガで次のように述べた。「産科や小児科の勤務医を増やすための具体的な目標や実現のための方策を盛り込んだビジョンを来月中に取りまとめ、政策化していきたい」首相は、来年度の一般財源化を予定している道路財源を上記の政策の財源に充てると明言した。

 

医療界は、こうした方針を麻生総理大臣がどのような形で受け継ぐのかを注意深く見守っていた。様々な問題をはらんでいるのが周産期医療である。新生児科医は主に小児科学会に、産科医は産婦人科学会にというように、それぞれが異なる学会に所属しており、共同性を欠いた医療集団であるということが周産期医療の問題への理解を困難にしている。

 

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また、新生児科が産科のように医療法の定める標榜科として認められていないということも理解を難しくしている。その名称が任意で掲げられるという状況が続いており、こうした問題があるために、新生児医療や新生児科医そのものの存在がなかなか知られていないのだ。

 

小児科の一部であるのが新生児科だという理解で、小児科・産科の医師不足という言葉の中に、新生児科医の不足の問題が組み込まれているものと誤解している専門家もいる。こうした認識があるために、小児科と産科に挟まれた新生児科に固有の社会的な問題やその存在意義などが社会一般に伝わりにくくなっている。

 

 

単なる名称に止まらないのが新生児科の問題である。診療報酬上の配置の基準などにおいて制度的に医師数の確保を裏付けることができなくなるのである。高度化の進んだ現在の周産期医療においては、産科医がただ単に分娩を扱っていれば事足りるかと言えば決してそうではなく、「児」の誕生という生命の危険の高い状況においては、シームレスな対応を実現するためにも新生児科医による救命処置が後方支援として欠かせない。

 

現在では、高度な産科医療を提供するためには新生児医療が欠かせないというところまで、双方の関係性は深くなっている。まずは、周産期医療提供体制の実態を把握しておかなければ、以上のような諸々の問題を解決することはできない。

 

 

周産期医療施設の3レベル

 

1次、2次、3次というように、提供する医療のレベルによって3つに区分されているのが我が国の周産期医療施設である。主として正常な分娩を担っている街の中小病院や産科クリニックなどのいわゆるお産施設が1次施設で、2次、3次の施設へは、新生児に異常があった場合や妊婦に合併症があった場合に送院される。

 

いわゆる新生児搬送や母体搬送とは、こうしたことを指して言うのである。中軽度のリスクを持った妊婦や異常新生児に対応することができ、尚且つ通常の産科医療を提供することのできる私設が2次施設です。

 

 

重篤な異常新生児やハイリスク妊婦は、3次施設へと送られる。この他に2.5次と称される地域周産期母子医療センターなどもある。この施設には、NICUと呼ばれる異常新生児を専門的に治療するための治療室が完備されている場合もある。

 

医療施設の乱立する都市部を除いて、概ね一県に一施設存在する総合周産期母子医療センターが3次施設です。ちなみに、山形、佐賀、奈良、岐阜、山形には存在しない。このセンターは、低出生体重児や1000グラムより軽い超低出生体重児、仮死を含む重篤な疾患を持って出生した児の治療、ハイリスク妊婦の受け入れやそうした妊婦の管理や分娩を行うことのできる高度専門施設である。



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