医療を増やしても不足は解決されない

医療を増やしても不足は解決されない


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医師の数を増やすということは、医師数の不足を解消する上で必要不可欠なことだが、現在の制度の下で、ただ単に医師の数だけを増やしたところで、医師不足の解決が根本的に行われるとは考えづらい。

 

医師不足についてその内容にまで目を向けてみると、3大疾患を対象とした医師群はそれほど不足しておらず、本当に不足しているのは、家庭において乳幼児や幼児、高齢者を対象とする総合医(あるいは家庭医)と呼ばれている医師群であることが分かっている。

 

医療を増やしても不足は解決されない

 

ある医療ジャーナリストによると、現在の制度の下では疾病別の専門医の養成が重要視されすぎているそうだ。総合医や家庭医というのは、初期診療を幅広く行うために診療科目にとらわれていない医師のことで、決して「掛かり付けの医者」と同義ではない。

 

欧米においては家庭医が適切な疾病の処理を行い、必要とあれば大病院や専門病院の医師を紹介することもあります。医療に関した高度な知識を持った、特に優れた医者という位置づけがなされています。仮に、病院勤務医と家庭医、専門医を分散化することに成功すれば、各医師がそれぞれの役割に今以上に集中できるようになる。

 

医療費の抑制は家庭医育成の目的では決してなく、人材や財源などの限りある資源を有効活用するための最も適切な医療システムの運営を実現させることが目標でなければならない。家庭医の制度が、定着している国として有名なのが英国です。英国では一人一人の国民が全員、各々一人の家庭医を登録しています。

 

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生死にかかわる状態でなければ、登録医の紹介状なしでは病院での診察までに大きな待ち時間が必要となる。東大病院に誰でもが通えるために長い間待たされる我が国とは全く意味合いが違う。上述のジャーナリストによれば、1人の患者を消化器、循環器というように臓器別に診るのではなく、総合的に診察できる点にこの制度のメリットがあるという。

 

異なる医師が臓器ごとに診察を行うよりも、その他の病気についても併せて診察することができ、同様の説明を繰り返す必要もなくなる。こうなれば医療に対する不信感も拭い去られる。登録者数に応じた包括的な報酬を受け取る人頭払い制が英国の家庭医の基本となっている。

 

もしも、現在の日本に厚労省が推し進めている掛かり付け医制度を当てはめるとどうなるだろうか。再び上述のジャーナリストによれば、怠慢な医師や能力の不足した医師を家庭医にすると本当に必要な時に紹介状を書いてもらえなかったり、誤診が起きたりするのがこの制度の欠点だという。

 

 

また、例え怠けていようが、患者を多く診ようが収入にほとんど差が出なければ、予約の先送りなどが起こり、患者の不信が高まることは間違いない。医学を中心に据えたいくつかのサブシステムを含んだ複合的で且つ巨大な社会システムとなっているのが現在の医療であり、

 

医療の問題についても、医学を中心に据えた社会的で且つ複合的なものにならざるを得ない。こうした問題の解決のためには、行政や政治、教育やメディアなど、様々な異なる分野の有機的な連関が必要不可欠となってくる。



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