「メディカルクラーク配置」と「スキルミックス」

「メディカルクラーク配置」と「スキルミックス」


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資格を持ったメディカルデクレタリ(メディカルクラークに当たる)がカルテの作成を行うのが米国のケースで、医師が診療の合間に書く我が国とは大きく異なる。米国では、医師は移動中などに患者の所見などを録音するためにICレコーダーを持ち歩いている。

 

自分のポストにこのデータを入れておけば、後はメディカルデクレタリがその内容に従ってカルテを仕上げる。診療報酬改定が2008年に行われた際には、どれだけの診療報酬がメディカルクラークに対して当てられるのかという点に注目が集まったが、予算と人数の想定値で計算してみると、350億÷8000人でメディカルクラークの年収は194万円と算出される。

 

「メディカルクラーク配置」と「スキルミックス」

 

この額で常勤を行うことは不可能であり、大変な失望感が残った。勤務医約16万人のすべてにメディカルクラークを配置すれば、4640億円が必要であるという専門家もおり、350億円の予算ではそもそも足りるはずがないのだ。

 

ある医療ジャーナリストによれば、「民間病院のほとんどが医師のサポートを行う秘書を雇ってきた。秘書的な役割を担う人が民間の病院には居て、かなりの雑務を医師に代わってこなしています。国公立病院では、このような秘書を雇えない状況が続いています。

 

経営問題や公務員定数があり、公的組織では病院の管理者が自らの判断で必要な人材を雇用することができないのである。赤字経営を強いられているのが現在の医療費抑制政策の下での多くの病院であり、財源の手当てができないためにメディカルクラークを雇用することができないのが現状です。」

 

10人の勤務医にメディカルクラーク1人を付けるのが現状では精一杯で、それでも導入できるのは一部の私立病院のように7対一看護を達成できたところだけとなっている現状がある。以上のような問題も重要だが、これらとは別に、医師の負担をチーム医療においていかに軽減するのかという点も考えなければならない。

 

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患者の一人一人に対して医師や看護師、薬剤師や管理栄養士、さらには麻酔医やセラピストが一つのチームとなって担当する医療のことをチーム医療と言う。この医療においては医師が中心となるが、コメディカルへの権限の委譲はチーム医療に関しても論議されるべきことである。

 

休日や夜間の救急医療には、研修医や専門のスタッフドクター、ER(診察室)専門看護師が当たっているのだが、欧米においては、完全交代制の下で救急医療の医師が当直することとなっている。

 

マスメディア等ではこれまで、日本医師会が自らの権益を守るために権限の委譲が許さなかったという論調で報道されてきたが、それほど実態は簡単ではない。医療行為の権限移譲について厚労省は、スキルミックスという表現を使用している。

 

 

元々英米などで発達したのがコメディカルであり、仮に本格的にスキルミックスを持ち込むのであれば、コメディカルの教育の実態や養成数、あるいは経済的な負担等について諸外国の事例を参考に考えなければならない。

 

我が国のコメディカルの雇用数はベッド数あたりで米国の4分の1以下というのが現状だ。さらに、我が国の場合には看護師は医師の指示に従って動くのが慣例となっているが、米国においては看護師がクリニックを開設することができる。これは薬剤師の場合も同様である。

 

このように、コメディカルの数や能力が不足しているのが現状なのだから(能力については実際には違う)、ミックスすることなど初めから不可能なのだ。コメディカルの養成数の問題に速やかに着手するのが厚労省の役目であり、この問題が解決されないうちからスキルミックスについて語るというのはあまりに不適切である。



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