勤務医の負担が増え続ける現状

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多くのメディアによって病院勤務医の過酷な労働状況が報道され、広く一般の国民にも理解が広がってきた。つい最近まで医療ミスや医療過誤といったニュースに「医師には良心があるのか」と批判していたのがまるで嘘のようだ。

 

週平均で70〜80時間もの勤務を強いられているのが、現在の病院勤務医の実情である。こうしたことが、医療事故の原因となっているのではないかという意見もある。夜間の緊急な呼び出しや頻繁な夜間当直、あるいは当直明けしてからの通常勤務など、一般的な生活を送っている社会人には到底想像できないほどの激務を行っている。

 

勤務医の負担が増え続ける現状

 

勤務医と開業医の所得格差が、約1.8〜2倍に広がっていることから、収入面にも同情が集まっている。開業医の再診料を引き下げ、その分を勤務医の待遇の向上策に充てるという案が、2008年度の診療報酬改定に盛り込まれることはなかった。

 

開業医にとっては、再診料が大きな収入源となっており、仮にこれが縮小されれば開業医の経営が困難となる。一方を立てれば一方が立たなくなるという非常に悩ましい現状があるわけだ。これまで、勤務医が過剰な残業を行うことで医師数の不足が補われてきた。

 

医療需給に関する検討会報告書という2003年に厚労省が作成した資料によれば、院外での勤務を含めた医師の週平均の労働時間は70.6時間であった。この報告書の数値に基づいて、時間外労働時間の1か月の平均を算出すると131時間になる。

 

これは労働基準法で定められた基準から大きく逸する数値である。時間外労働時間が月に45時間を超えると過労死に繋がり易くなり、これまでにも多くの医師が実際に過労死で亡くなっている現状がある。こうしたこともあって、過労死認定を求めた裁判が行われている。

 

裁判においては医師の労働状況の改善という点以外に、医師の残業を制限しなければ患者が安全な医療を受けることができないといった観点からも論議がなされており、この他にも救急患者にいかに応対するかという問題も含めると早期に結果が出るとは考えにくい。

 

医師の過剰労働問題については「自己研修や休憩時間は勤務時間とはみなさないのが通常であり、これらが含まれた時間を一概に勤務時間ととらえることは適切ではない」というのが厚労省の見解であり、週48時間が医師の労働時間であると解釈した上で、結論としては過剰ではないとした。

 

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こうした見解については、現場の実感と明らかに乖離したものだという批判が医療従事者の中から上がっている。こうした問題もさることながら、我が国においては過剰に医師に仕事が集中していることが明らかになっている。

 

医師以外の医療従事者(コメディカル)に権限を移してもよいのではないかと思えるものがこうした仕事の大半である。カルテや医療機器の安全性の説明など、書類作成に割く時間が長いのが我が国の医師の特徴だ。

 

こうした状況を受けて、勤務医の負担をできる限り取り除くために、コメディカルに医療行為の一部の権限を委譲することや、それまでは医師が担っていた事務負担を軽減させるための補助員(メディカルクラーク)を付けることを厚労省が決定した。

 

 

一方では、医療技術の複雑化や向上が進み、これに伴う研修期間の増加や研究、会議や医療機関内の各種の委員会が増え続けているにもかかわらず、医師の数は不足している。さらに、インフォームド・コンセントという安心や安全の面に配慮した家族や患者への説明責任が課させられることになり、

 

1人の医師がこなさなければならない業務の量と質は間違いなく上がっています。こうしたことが、週40時間を大幅に上回る労働基準法の規定からも逸脱した勤務時間の長さにつなっているのである。

 

さらにそこへ医師の不足が加わることで、激務を回避するための辞職や救急患者の受け入れ不能といった問題が頻発しているのである。こうした現状を鑑みて、日常的な病院の管理業務や準医療行為、カルテの記入などの事務的な業務等に関しては医師ではなくコメディカルが担えるようにするという分業体制への抜本的な整備が必要となったのである。以上のような背景から必要性が叫ばれたのがメディカルクラークである。



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