看護師 薬物療法

薬物療法のトラブルや困ったこと


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●薬物療法を中断してしまう場合

 

薬物療法を中断してしまう患者さんがいます。中断してしまう患者さんに多く見られるのは、1型糖尿病や若い人など昼にインスリンを打つ人に多く見られます。周囲に糖尿病であることを隠していることが理由の一つに挙げられます。仕事中はインスリンを打てなかったり、会議の時は絶対に打たないと話していた患者さんもいました。

 

【看護師の知識】薬物療法のトラブルや困ったこと

 

また、意図的に打たないという人もいます。糖尿病であることを受け入れられないでいる人もいれば、使い捨てタイプの製剤の値段が高く経済的に厳しく中断してしまうといったケースもあります。患者さんが自己中断してしまった場合は、きちんと中断してしまった理由を聞くことが大切です。

 

 

また、解決法も患者さんと一緒に考えるということが重要になります。もし、お昼に会社でインスリンが打てないのであれば、CSllを導入します。24時間持続するので、1日に数回の注射は使わなくて済み、中断を防ぐことができます。または、医師に相談し昼のみ経口薬だけにするという方法もあります。経済的な理由であれば、入れ替え式のカートリッジタイプに変更するという方法も有効です。

 

病気を受け入れられずにいる人には、今までの生活を振り返り、いつ頃から治療が嫌になってしまったか、治療の必要性を理解しているかなど個別にゆっくりと話をすることが必要です。インスリン注射が嫌というなら、経口薬による治療を検討しましょう。経口薬が可能ならば、しばらくは経口薬治療を行い、その代わりに食事療法と運動療法をしっかり管理する方法もあります。

 

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そして、「私は合併症になってほしくない」などのI(私の)メッセージを入れながら、お互い歩み寄る工夫をして下さい。どの様な場合においても、それぞれの患者さんが、どのような治療法なら中断することなく治療を続けることができるのか、その為の選択肢を準備し、患者さん自身が選択できるような形で指導していくことがポイントです。

 

患者さんがインスリンを打つことができないなど、患者さんが気兼ねなく話ができる雰囲気づくりや関係づくりも非常に大切なことです。「あなたが受け入れてくれるのを待っている」「いつも気にかけている」などといったメッセージを積極的に伝えていきましょう。お正月やお盆などは、ごちそうやお酒が出てくるのでついついたくさん食べたり飲んだりしてしまいがちです。

 

 

また、寒かったり暑かったりすると、運動を中断してしまうこも少なくありません。誕生日・入学式・結婚式など、様々なイベントがある時も同じです。その為、この時期に順調に療養生活が送れていた人でも療養生活が乱れ、血糖コントロールがうまくいかなくなる可能性が高くなります。その前後のタイミングで注意を促すことが必要となります。

 

生活リズム、食事、運動などの面から、問題になりそうな要素を想定し、対策を考えたうえで、事前に患者さんと相談することが大切になります。低カロリー料理の作り方や室内でできる運動方法などを患者さんや家族の方に伝え、無理なく血糖コントロールが維持できるような提案をしていきましょう。

 

イベントは、患者さんにとっても楽しみの一つであることが多いので、無理せず楽しめて、ドロップアウトのきっかけにならないよう配慮することも必要でしょう。

 

 

経口薬療法を導入するのに注意点がわからない場合

 

インスリン療法に抵抗がある患者さんは、経口薬療法を希望する人が多くなります。経口薬療法は、インスリン分泌促進薬・インスリン抵抗性改善薬・糖吸収遅延薬などの複数の薬剤が使われます。

 

 

食事療法と運動療法だけでは十分な血糖コントロールができない

 

2型糖尿病の患者さんに対して行われます。患者さんの病態・合併症・薬剤の作用特性などを考慮し、少しの量から始め、血糖コントロールの状態によって薬の量を増やしていく方法をとります。

 

足りないインスリンを補充するものでなく、主に、インスリン分泌の促進、インスリン抵抗性の改善、食後の急激な血糖値上昇を抑えるものです。経口薬療法を開始する際は、患者さんに正しく丁寧に経口薬療法に関する情報・知識を伝えることが大切です。

 

特に知っておきたいのが薬理作用(薬が生体に生理的な変化をもたらす働き)です。経口薬療法では、複数の薬を服用するケースがほとんどです。患者さんの中には、薬の多さに全部必要なのか疑問を抱く人もいます。なので、今飲んでいる薬がどこに効いて、どこをターゲットにしているのかを伝えることによって、患者さん自身が内服する理由を理解できるようになるというのです。

 

また、副作用についてもきちんと説明しなくてはなりません。糖尿病は、目立った症状がなく無自覚である為、内服による治療効果を実感できるものではありません。ですので、薬理作用(薬が生体に生理的な変化をもたらす働き)の理解を通じて効果を実感できるようにしていくことが重要なのです。

 

 

薬はどこに効いているのか?

 

@ビグアナイド薬…主に肝臓での糖新生を抑制する。
           筋肉・脂肪細胞などで糖の取り込みを高める。

 

副作用…食欲不振・悪心・嘔吐・下痢。
      頻度は少ないが乳酸アシドーシスが認められる。

 

Aα-グルコシダーゼ阻害薬…糖を小腸でブドウ糖に分解するのを阻害し、
吸収を遅らせ、食後の急激な血糖上昇を抑える。

 

副作用…腹部膨満感・下痢・まれに肝障害などが認められる。

 

BDPP-4阻害薬…DPP-4の働きを局所的に抑制することで、
膵β細胞からインスリン分泌を促進するホルモンであるGLP-1の濃度を高め、
血糖低下作用を発揮する。

 

  • 食事摂取の影響を受けない。
  • SU薬と併用するときは、低血糖のリスクが高まる。
  • 高齢・軽度・中等度腎機能障害には使用制限がある。
  • 重度腎機能障害には禁忌のものもある。

 

Cチアゾリジン薬…筋肉や肝臓などでインスリンの作用を高め、
筋肉での糖の取り込みを促進、肝臓での糖放出を抑制する。

 

副作用…浮腫(むくみ)・貧血・体重増加などが認められる。

 

DSU薬(スルホニル尿素薬)…膵β細胞に働きかけインスリン分泌を増加させる。
低血糖の出現に注意が必要。

 

副作用…肝障害・腎障害・体重増加などが認められる。

 

E速効型インスリン分泌促進薬…膵臓に働きかけ、服用後短時間で
早期のインスリン分泌を増加させ、食後の血糖上昇を抑制する。

 

副作用…肝障害・腎障害・低血糖などが認められる。



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